耳鳴りとは?症状と原因、医療機関を受診する目安
耳鳴りとは、外に音の源がないのに音が聞こえる状態です。キーンという音がもっとも多く、ジー、シャー、ブーンといった音のこともあります。耳鳴りはよくある症状で、多くはある程度の難聴と関係しており、重い病気のサインであることはまれです。ただし、いくつかの注意すべきサインがある場合は、早めに医療機関を受診してください。
このガイドは一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。耳鳴りが新しく始まった、片耳だけに聞こえる、脈打つように聞こえる、または難聴やめまいを伴う場合は、医療機関を受診してください。
耳鳴りはどのくらい多いのですか?
とても多い症状です。83件の研究のデータをまとめた2022年のレビューでは、成人のおよそ100人に14人に何らかの耳鳴りがあり、年齢とともに増えること、また100人に2人ほどは重い耳鳴りを抱えていることが推定されています[1]。米国の調査では、成人の10%から25%という数字が出ています[2]。
3か月以上続く耳鳴りは、一般に慢性耳鳴りと呼ばれます[2, 3]。一方で、時間とともに軽くなったり、自然に消えたりすることもあります[2, 4]。
耳鳴りの症状:どんな音がするのですか?
キーン、ジー、ザー、ブーン、シャー、ドクドクといった音のほか、音楽や歌声のように聞こえると話す人もいます。片耳だけのことも、両耳のことも、頭の中で鳴っているように感じることもあり、聞こえたり消えたりする場合も、ずっと続く場合もあります[5]。
医師はいくつかの種類に分けて考えることがよくあります。
- 自覚的耳鳴はもっとも多いタイプで、本人にしか聞こえません[2]。
- 拍動性耳鳴は規則的に脈打つ音で、多くは心臓の拍動に合わせて聞こえます(詳しくは後で説明します)[2]。
- 体性感覚性耳鳴は、頭や首、あご、目を動かしたり、体の特定の場所に触れたりすると変化します[2]。
耳鳴りの原因は何ですか?
はっきりした原因がひとつに決まらないことも多く、思い当たる理由がないまま耳鳴りが始まる人もいます。耳鳴りと関係があるとされているのは、次のようなものです[2, 5]。
- 加齢や大きな音による難聴。耳鳴りのある人の多くは、ある程度の難聴を伴っています
- 職場、コンサート、スポーツ観戦などでの大きな音
- 耳あかが耳の穴をふさいでいること、または耳の感染症
- 一部の薬。特に量が多い場合で、たとえば消炎鎮痛薬やアスピリン、一部の抗菌薬、一部の抗がん剤
- メニエール病(平衡感覚と聴こえにも影響する内耳の病気)
- 頭や首のけが、あごの関節の不調
- 糖尿病、甲状腺の病気、片頭痛、多発性硬化症などの病気
- 不安やうつ
有力な考え方のひとつは、内耳が傷つくと、音を処理する脳の部分が変化し、その結果として音が聞こえるようになるというものです。注意や感情にかかわる脳の領域とのつながりによって、耳鳴りがほとんど気にならない人がいる一方で、強い苦痛を感じる人もいる理由を説明できるかもしれません[2, 3]。
拍動性耳鳴:受診が必要なとき
音が脈拍に合わせて鳴っている場合は、早めに医師の診察を受けてください。英国の NHS は、かかりつけ医に急ぎの予約を取るようすすめています[5]。拍動性耳鳴は、一定の音が続く耳鳴りよりも少ないタイプです。聴診器などを使うと医師にも聞こえることがあり、これを他覚的耳鳴と呼びます。他覚的耳鳴には、見つけて治療できる原因があることがよくあります[2]。血管の問題と関係していることがあるため[2]、英国のガイドラインは拍動性耳鳴のある人に画像検査を行うよう推奨しています[4]。考えられる原因と検査については、拍動性耳鳴のガイドで説明しています。
耳鳴りは重い病気のサインですか?
たいていは違います。耳鳴りが重い病気と関係していることはまれです[2]。英国のガイドラインは医療者に対して、耳鳴りはよくある症状であること、自然に治まることもあること、そして難聴とは関係していることが多いものの、ほかの体の病気とはあまり関係しないことを伝えて安心してもらうよう求めています[4]。ただし、注意が必要なパターンもあります。
耳鳴りで医療機関を受診すべきなのはどんなときですか?
次のような場合は、すぐに助けを求めてください(救急外来を受診するか、119番に電話)。
- 頭を打ったあとに耳鳴りが始まった[5]
- 突然の難聴、顔の力が入らない、ぐるぐる回るようなめまいを伴う[5]
- ほかにも突然の神経の症状がある、または脳卒中を疑うサインがある[4]
- 自分を傷つけたいという考えが浮かぶ[4]
次のような場合は、早めに受診してください。
- 音が脈拍に合わせて鳴っている。急ぎで予約を取ってください[5]
- 片耳だけに聞こえる、または片側の聴こえが悪い[4, 6]。片耳の耳鳴りもご覧ください
- 数日から数週間のうちに聴こえが悪くなっている[4]
- 耳鳴りが続いている、ひどくなっている、または睡眠や集中力、気分に影響している[5]
診察では、医師はふつう耳の中を見て耳あかや感染症がないかを確かめ、体調や飲んでいる薬について尋ねます。聴力を調べたり、耳鼻咽喉科の専門医や聴覚の専門家を紹介したりすることもあります[5, 2]。画像検査が必要になるのは、拍動性耳鳴や片側だけの症状など、特定の場合に限られます[4]。
耳鳴りの治療:耳鳴りは治りますか?
今のところ、耳鳴りそのものを治す方法はなく、耳鳴りの治療薬として承認された薬もありません[2]。耳あかなどはっきりした原因がある場合は、それを治療することで音が消えたり、大きく軽くなったりすることがあります[2]。続いている耳鳴りについては、耳鳴りを気になりにくくし、つらさを和らげることが目標になります。ガイドラインが支持しているのは次のような方法です。
- 耳鳴りについてのわかりやすい説明とカウンセリング[4, 3]
- 難聴もある場合の補聴器[4, 6]
- 認知行動療法。耳鳴りによる苦痛を軽くする方法として、もっとも強い根拠があります[6, 7]。耳鳴りの認知行動療法のガイドをご覧ください
- 音響療法。根拠は限られていますが、役に立つと感じる人もいる選択肢です[6, 8]。音響療法のガイドをご覧ください
イチョウ葉エキス、メラトニン、亜鉛などのサプリメントは、耳鳴りの治療として推奨されておらず[6]、効果が証明されたものもありません[2]。詳しくは耳鳴りとサプリメントをご覧ください。すべての選択肢の概要は、耳鳴りの治療法の選択肢にまとめています。
毎日の暮らしでできることはありますか?
- まったくの静けさは避けましょう。小さな音の音楽や生活音があると、耳鳴りから注意がそれることがあります[5]。
- 大きな音から耳を守りましょう。大きな音は耳鳴りを悪化させることがあります[4]。
- 睡眠を大切にしましょう。耳鳴りと睡眠のガイドに具体的なコツをまとめています。
- ストレスと上手に付き合う方法を見つけましょう。ストレスも耳鳴りを悪化させる要因のひとつです[4]。耳鳴りとストレス・不安をご覧ください。
- ほかの人と話してみましょう。患者会などの支え合いの場は、多くの人の助けになっています[5]。
関連するガイド
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出典
- Jarach CM, Lugo A, Scala M, et al. Global prevalence and incidence of tinnitus: a systematic review and meta-analysis. JAMA Neurology, 2022.
- National Institute on Deafness and Other Communication Disorders (NIDCD), NIH. Tinnitus. 2023.
- Mazurek B, Hesse G, Sattel H, et al. S3 Guideline: Chronic Tinnitus. German Society for Otorhinolaryngology, Head and Neck Surgery (DGHNO-KHC). HNO, 2022. English version of the German AWMF guideline 017/064 (2021).
- National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Tinnitus: assessment and management (NG155), Recommendations. NICE guideline, 2020.
- NHS. Tinnitus. NHS website, 2024.
- Tunkel DE, Bauer CA, Sun GH, et al. Clinical practice guideline: tinnitus. Otolaryngology, Head and Neck Surgery, 2014 (AAO-HNSF).
- Fuller T, Cima R, Langguth B, et al. Cognitive behavioural therapy for tinnitus. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2020.
- Sereda M, Xia J, El Refaie A, et al. Sound therapy (using amplification devices and/or sound generators) for tinnitus. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2018.